ソファーは家族の年輪

今から15年以上も前、結婚祝にと同僚から三人掛けのピンク色のソファーを頂きました。
新婚生活をおくる小さなアパートの一室には少し大きめで色も派手目。

当初は邪魔にも思った事のあるピンクのソファーでしたが、子供が生まれ大きくなりソファーでバンバン飛び跳ねる遊び道具の一つとして使っていました。

やがて子供も大きくなりソファーで遊ぶ事も無くなってからは私の昼寝の床になったり、妻がエクササイズをする時に使用したりしていたものです。

そんなソファーも年数が経つににつれて破れて色あせてシミが出来、お客さんが来た時等は恥ずかしくて見せられない程みすぼらしくなっていました。

そんな折「もういらないね」との妻の一言で粗大ゴミに出すことになりました。

真夏の暑い盛りにフゥフゥ言いながら粗大ゴミ置き場に持ってき、汗を拭きながら我が家に帰って来た時、妻の何とも言えない寂しそうな後姿が目に入ったのです。

「ん？どうした・・・？」
妻はうっすらと涙を湛えた眼を私に向けてから指を指しました。
「やっぱり無いと変。おかしい！寂しい・・」

妻の肩越しに指を指した方向を覗きこむと部屋の奥にポッカリと不自然な空間が出来ていました。
ソファーの置いてあった後でした。

あって当たり前だった物が無くなった時の違和感、例えようの無い不安感が私たち夫婦の心の中一杯になり、お互い何も言わずに目だけ合わせてゴミ置き場に駆けだしました。

もちろん私たち家族のピンクのソファーを再び我が家の定位置に持ち帰ろうと思ったからです。

小さなソファですが家族に一員になってたのですね！

家具に感謝を感じた時でした。

使ってよかったソファの一例